2014年07月の記事

スポンサーサイト

海賊に恋をして 19

次に目を醒ました時には……そこは真っ暗な暗闇だった……なにか柔らかいものに寝かせられている感覚はあるものの、視界は…ほとんどない。そんな中で、自分の半身が…とても温かい……。まるで何かに包まれる様にそこはあまりにも心地良かった…。『んん……』何度瞬きをしても、その視界は開けない。でも……、『チャンミン…気が付いたか…?』その声だけははっきりと聞こえた。『ユノ…さん……?ユノさん…だよね………』まだ覚醒しきれない中でもチ...

海賊に恋をして 18

見知らぬ街で、見知らぬ男について行く。進む前にはたくさんの灯りがあったと言うのに、彼について歩く道はどんどんと光が無くなって行く。一体この人は…どこへ……そして、道が無くなるその瞬間、『静かにしろ……死にたくなかったら、大人しくしな…』そう言って、後ろから首に腕を回され、目の前には短剣…。『なっ…なに…?!』『バカなやつめ…のこのこと付いてきやがって…。お前の持ってる金銀…全て置いていけ。』『僕はなにもっ!!...

海賊に恋をして 17

『ユノ…さん……?』『チャンミン、この船から下りるんだ……』慌ただしく着港の準備を進める水平達を見下ろしながら、マントのフードを被ったまま、振り返る事なくチャンミンに告げるユノ。今朝……誰も立ち入る事を許されない船長室で目覚めたチャンミン……再会を喜び、そして気持ちが分かり合えたと思っていたユノから突然告げられる別れ………『ユノ…さん…?どうして……』『チャンミン、会えて…良かったよ……。礼は言った…。お前はここに居...

海賊に恋をして 16

『そんな…そんな大事な事…忘れてたなんて……』『チャンミン…お前は…いくつになったんだ…?』『……18………』ユノは大きな息を一つはいて、チャンミンの身体をくるりと自分に向けた。そして昔の様にチャンミンの両頬を包み込んだ……。『大きく……大きくなったな…チャンミン……』そう言いながら、ユノはチャンミンの顔を愛おしげに撫でる。ゆっくりとチャンミンの顔を這うユノの指から伝わる熱は、あの頃と何も変わらない。チャンミンはそ...

海賊に恋をして 15

『あの時の………あの時の人が……あなた………?』船長室の中、今、後ろから抱きしめられている人が…ユノお兄ちゃん………チャンミンははっきりと思い出す…思い出すと言うよりは……記憶が…戻ったと言うべきか……あの日、チャンミンが目を醒ますと、隣に居るはずのユノが居なかった。まだ自分では動けないはず…。それなのに…ユノはどこへ……『母さん!!母さん!!ユノお兄ちゃんは?!ねぇ!!ユノお兄ちゃんが居ないよ!!』部屋に入って来た母...

海賊に恋をして 14

その日からユノはチャンミンの家で看病を受けた。毎日の身体の清拭はチャンミンがやった。チャンミンは朝いちばんに川へと行き、冷たい水を汲んできてはユノの顔を拭いた。父に頼んで火の熾し方も聞き、お湯を沸かして身体も拭いた。『ユノお兄ちゃん、気持ちいい?』『あぁ。』『キズは痛い…?』『大丈夫だ。』ユノの大きな背中を拭きながら、チャンミンは顔だけをのぞかせユノの顔を見る。『はやくお兄ちゃんのケガが治りますよ...

海賊に恋をして 13

『お兄ちゃん…死なないで…死んじゃ……や……』小さく柔らかな手が触れた気がした。遠のく意識の中で、なぜ自分はあのチビを思い出しているのか……俺は……なにも残せないまま…本当に死ぬのか……『チャンミン………』最後に…お前みたいな純粋なやつに出会えて…良かったよ………『ユノお兄ちゃん………ユノお兄ちゃん…………』『こら…チャンミン。まだ寝かせてあげなさい。兵隊さんはまだ夢の中にいらっしゃるのよ…』『母さん…ユノお兄ちゃん……ほんとう...

海賊に恋をして 12

それからどれくらい経ったのか……。ユノは火の消えかけた洞窟の中で目を醒ます。ここは洞窟の奥……外の光も届かない真っ暗な中で、ユノは一人目を醒ました。寒い……寒い………まるで全身の血が全て泣く無くなったように……寒い……身体は鉛の様に重く、瞼を上げる事すら……億劫なほど…。もう動ける力もない。天井から滴る水の音だけが響くその中で、ユノは大きな溜息を一つ吐き、天井を見つめる。このまま死んでしまうのだろうか……自分の運命...

海賊に恋をして 11

『おにいちゃんはぼくがたすけるから!!』そう言ってチャンミンは痛む足など気にせず立ち上がる。その途端に全身に響くような痛み。それでもその時のチャンミンは必死だったのだ。なんとかこの人を助けたい。『ダメだ…チビ…ここから出るな………』『だいじょうぶだよ!まってて!父さんと母さんだって、ぼくをさがしてるはずだもん!!必ずつれて来るから待ってて!!こんなキズなんか痛くないもん!!』大粒の涙が堪る瞳で懸命に叫...

第63回ゆのみん企画【海賊】 海賊に恋をして 10

暗い暗い洞窟の中。僅かに感じる火の灯り……自分の身体を包み込むその大きな身体に、チャンミンはゆっくりと覚醒していく。『ぼく……』全く記憶がない。どうしてこんなに暗い場所にいるのか、どうして僕はこの人といるのか……ゆっくりと覚醒して行く中で、チャンミンは足に違和感を感じる。ドクドク波打つように、膝が痛い。その痛さと、この暗い場所に幼いチャンミンは突然声を出して泣いた。『かぁ…さんは……どこ……?とぉ……さんは……...

第63回ゆのみん企画【海賊】海賊に恋をして 9

なに…言ってんの……?僕がユノ船長の事を憶えてないかって……?自分の前で組まれる両腕……その腕に手を添えその言葉の意味を懸命に考える…。でも……でも………『僕………』『まだ幼かった君が……俺を救ってくれた……』な…に……?なんの事………『チャンミン…君をずっと探していたんだ………』その言葉と共に、ゆっくりと身体が回転する。目の前に映ったユノ船長の瞳……『木苺の味は…忘れたのか…?』そう言うユノ船長の瞳が揺れている。『木苺……』その言...

第63回ゆのみん企画【海賊】 海賊に恋をして 8

『行かないで…ください……』チャンミンはユノ船長の背中にしがみ付く。なぜそうしたのかは分からない。ただ言えるのは、ユノ船長の背中の大きな傷。それを見てしまったチャンミンは、頭で考えるより先にその背中に手を伸ばしてしまった。『チャンミン…離せ。』『いや……行かないでください…僕を…一人にしないで……』自分が発してる言葉の意味さえ分からないチャンミン。『チャンミン…』『や………』『チャンミン!!』しっかりしがみ付い...

第63回ゆのみん企画【海賊】 海賊に恋をして 7

肌に触れる心地いい熱を感じながら、チャンミンはゆっくりと瞼を上げた。『……ここは……?』何度瞬きをしても、今、目の前に映る景色に見覚えがない…。ここは……どこ……?ふかふかのベットに、鼻に届く匂いは……ユリ……の香り…?母さんが好きだった花だ……見上げた天井には……天蓋のカーテンが揺れている。入り込む陽射に眩暈がしそうだ………痛む頭に手を添え、僕はゆっくりと身体を起こす。あっ……ここって……ここは……船長の…部屋………?たった...

第63回ゆのみん企画【海賊】海賊に恋をして 6

『ぐわぁぁぁぁぁぁ!!』甲板に響いた声……。それは一体誰の断末魔だったのか…………。あまりにも突然の事。そして、誰かの息が切れる音………突然訪れた静寂………真っ暗な闇の中、チャンミンはひたすら耳を塞ぎ、目をぎゅっと閉じ、震える自分の身体を小さくしていた。外で何が起こっているのか全く分からない。鼻につくのは…血の匂い……そして、天井の上から聞こえるうめき声……怖い……怖い……どうして僕が…どうして僕がこんな目にっ………ガタ...

第63回ゆのみん企画【海賊】海賊に恋をして 5

『このままでいいから……泣くな……』それはほんの僅かな時間だったのかもしれない……いや……僕にとっては…長い長い時間にも感じた…。この匂い……あなたは………『どうっ……して……?どうして……こんな事……するんですか………?』『理由などない。ただ…お前の涙をみるのは…嫌なのだ……』『僕は…何もない…僕には……もうなにもない。それを憐れんでいるのですか……?』『……………』『僕から…何もかも奪っておいて、なぜこんな事をっ………』『…………』『離して...

第63回ゆのみん企画【海賊】海賊に恋をして 4

『船長の事…変な目で見るなよ……』ミノと言う人にそう言われた。あの大きな瞳が一瞬だけ細くなり、そして、低音で響く声が僕に突き刺さる。それの目はまるで炎の様………この身に感じる威圧感は、あの目が全てを物語る。しかし……なんだって僕に…。変な目でって見るなって…なに…僕はまだあの船長となんの接点もない。『お前の居場所を守ってやる…』そうは言われたが、正直……なんの接点もなければ、手の届く人でもない。事実、あれ以来、...

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。