2014年08月の記事

スポンサーサイト

海賊に恋をして 34

ーチャンミン君……僕を…殺して………ー自力ではその手をあげられない程に憔悴しているルハンの声……その手をしっかりと握りしめ、その消えそうな声に耳を傾けると、大きな瞳に涙を浮かべながら、自分を殺してほしいと懇願する一人の少年……。自分よりも年下で、それでいて大きな運命を背負う…その少年の言葉に、チャンミンはその手をしっかりと握り返した。『ルハン…生きる為に…裏切ったんだろ……兄弟たちと…生きていくために…ユノさんを…...

海賊に恋をして 33

船長室に入ると、ミノは傷付いたルハンの身体を部屋の奥にあるもう一つのソファに横にした。そして、その服を裂き、ユノが斬った傷を手際よく処置をしていく。その間にもチャンミンはガタガタと震え、一人では立っていられない程。目の前で行われているその作業すら、まったく頭に入ってこない。それでも誰一人言葉を発する事のない部屋の中、ユノに身体を支えてもらいながら、手際良く治療していくミノの後姿と、ミノに動かされる...

海賊に恋をして 32

注意・ここはあくまで素人の妄想の世界です。今回は少し表現的にきついシーンもあるかと思います。それをご理解の上、閲覧をお願いします。これは海賊をテーマにしたお話。戦いのシーンもあります。それをご理解して頂きたいと思います。何度も言います。これは妄想です。それをご理解して頂いた方のみ、楽しんで頂けたら嬉しいです。ゆっくりと自分の前に立ちはだかる影……。どうして…この人が……この船に裏切り者が居るかもしれな...

海賊に恋をして 31

それからチャンミンはユノの食事の全てを担当する事になった。今までユノが口にする全ての料理を任されていた料理長の指導を受け、食材選びから仕込み、完成から船長室に運ぶまで、その全てをチャンミンが行った。それは想像以上に大変な事…。新人コックであるチャンミンは、誰よりも早く起き、厨房の掃除から始まる。しかも、ユノの担当になったからといって、それだけをこなしている訳ではない。これまでの仕事も同じ様に行い、...

海賊に恋をして 30

『ユノさん……入っても…いいですか……?』耳を澄まさないと聞こえない程の声……。その声にユノはゆっくりと部屋のドアを開ける。『チャンミン…どうしたんだ…?こんな時間に……』『あっ…あの…ミノさんがこれを持って行けって……。もう夜も遅いから…その…迷惑かとも思ったんですが……』ミノめ……。余計な事を…。そう言いながらも口元が緩む。『そうか…入りなさい。』ユノはドアを大きく開け、チャンミンを招き入れた。『あの…ユノさん…お身...

海賊に恋をして 29

...

海賊に恋をして 28

初めてユノに剣術を教えて貰った夜から、チャンミンは毎日夜には甲板に出て剣を振った。最初は持つことすら怖かった剣。それでもユノの言葉を心に刻み、額から流れる汗を何度も拭いながら、それでも毎日欠かさずに練習をした。『おっ?チャンミン、今日もやってるな!』厨房で一緒に働いている船員たちも、仕事終わりのいっぱいを手に持ち、懸命に頑張るチャンミンを優しく見守る。『はい!毎日練習しないと上手くならないから…。...

海賊に恋をして 27

その日の夜から、ユノとチャンミンの剣術の訓練が始まった。『まずはチャンミンにこれをやろう。』そう言ってユノは左腰に携えていた短剣を手渡した。『こんな小さな剣………?』チャンミンはユノがいつも右の腰に付けている剣ばかりを見ていた事もあり、今、自分の手に納められている短剣に拍子抜けした。『チャンミン。よく覚えておけ。剣に長いも短いもない。そんな小さな剣であっても、確実に人を死に追いやる事が出来る。もちろ...

海賊に恋をして 26

『あの…料理長…教えて下さい!!』『ん?どうした…?チャンミン。そんなところに立ってないでこっちに来なさい。』ユノの許可を得たチャンミンは、その日から厨房に入る事になった。今までは甲板に上がる事も許されず、ずっとずっと暗い食料庫で時を過ごしてきたチャンミン。しかし今は違う。ユノから正式に認めてもらって、この船の一員となった。自分の居場所が出来たチャンミンにとって、毎日が勉強で毎日が発見。ユノと対のピ...

海賊に恋をして 25

『チャンミン!!お前はそんな事すんなよ!!』『なんでですか?!僕の仕事はこれなんです!!返してくださいよ!!』『そりゃぁできん!!船長の大事な人にそんな事させられねぇ~っての!!』『あっ!!料理長!!じゃがいも、返してくださいよ!!』チャンミンは正式にこの船の一員になった。あの日、ユノに必死になって想いをぶつけた日、チャンミンはとても幸せだった。父と母を亡くし、ずっと一人で生きて生きたチャンミン……...

海賊に恋をして 24

瞼に感じる光でチャンミンはゆっくりと目を醒ます…。ここは……?僕は確か海に………。そして…ユノさんにようやく触れられた気がしたのに………そう思いながらも、チャンミンは瞬きを繰り返す。この天井……見覚えがある……ここは…確か………。『ユノさん………』ふいにそう呟いた。以前もこんな事があった。今…自分の鼻を掠めるのは…絶対にユノさんの匂いだ………。僕が何よりも望んだ…ユノさんの匂い……。ユノさんが僕を…助けてくれた…チャンミン…チャ...

海賊に恋をして 23

『なんだ?!』『船の縁(へり)に誰かいるぞー!!』『敵襲だぁー!!』飛び交う声の向こう駆け出したユノとミノ。それでも船は少しずつ港から離れその向きを変えていく。『ちょっ…どけっ!!』ミノは船尾に群がる船員をかき分ける。この数週間、チャンミンは確かにこの船に乗っていたが、そのほとんどを暗い食料庫で過ごしていた。その為、今、船の縁に掴まっているチャンミンの事を殆んど知らない船員たちは、チャンミンを敵襲と...

海賊に恋をして 22

夜が明けるころ、チャンミンは一人港へと向かう。ミノはあのまま夜の闇へと消えていった。『チャンミン…お前の覚悟を信じる……しかし、ユノ様はお前を簡単には受け入れてはくださらないだろう…。あの人の覚悟……それもまたお前と同じように固い……。ユノ様は簡単にお前を船には乗せないだろう……それでもユノ様のお傍に居たいのなら…あとは自分で考えるんだ……』そう言い残して…………。あの部屋から出て、チャンミンは一人で丘に立った。...

海賊に恋をして 21

『チャンミン…お前をここから出してやる……』ドアの奥…確かにそう聞こえた。『……ここから…出す………?』『そうだ……お前を…自由にしてやる……』ユノに捨てられ、この先の未来……なにも見えない。明日の朝になれば、自分には違う人生が待っている。料理人としての未来。それはユノが自分の為に開いてくれた新たな道……なりたかった料理人………でも…今は………。僕は知ってしまった……人の温もりを………過去の…想い出を………『…でも……あなたはいったい...

海賊に恋をして 20

ドアの下……そこから差し入れられたダイヤのピアス……。『ユノ…さん……?これって……』そのダイヤにゆっくりと手を伸ばす……。『いつか…いつかお前に再会できた時に渡そうと思っていた……これで……本当のサヨナラだ。チャンミン……幸せになれ……』その言葉と共に、ユノは行ってしまった。今度こそ…本当に………。チャンミンの手の平に残る片方のピアスだけを残して……。チャンミンは、もはやなんの音もしなくなった暗い部屋の中、そのピアスをぎ...

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。