2014年09月の記事

スポンサーサイト

海賊に恋をして 38

『行くのだ……兄弟を連れて……』ユノさんの声が…船長室の中に響く……。それはいつもの様に重く…それでも……この場所に居る誰の心にも…しっかりと届く音になって伝わる。向けられている言葉はチャンミンに対して向けられている訳ではないのに、なぜだろうか……その言葉にチャンミンは胸の奥が熱くなるのを感じた。視線の先には、ユノを見上げて震えるシウミン………目をぎゅっと閉じて、ただただ震えるその身体に、チャンミンは静かに歩み寄...

海賊に恋をして 37

『こいつに…手を出すな………』チャンミンの前で這う低い声…。遠くに聞こえる剣がかち合う音が更に遠のくように感じるこの瞬間、チャンミンの視線はユノの大きな背中に向けられていた。さらさらと流れる長い髪。風に揺れるそのマントと漆黒の髪は、チャンミンの身体を優しく包み込んでいた。しかしその長い剣は、確実に相手の喉元に剣先まであと数ミリ……。鋭い眼光は…その目を捉えて離さない。『チョ……チョン…ユンホ……』微動だ出来な...

海賊に恋をして 36

そして夜が明けるまであと少し……。アーチ型の船長室の窓から見る海がいつもと違く感じるのは、これからの戦いの予兆だろうか……敵国への海域ぎりぎりまで船が進むと、ユノは全員を甲板に集めた。言い様のない緊張感から、言葉を発する者は誰もいない。手に馴染んだ武器を手にし、その目は…戦いに立ち向かう戦士の目…。それぞれの心にはこの戦の意味と、大切な人への想いで溢れていたに違いない。チャンミンはコックの仲間たちと共に...

海賊に恋をして 35

『チャンミン…お前は…そんな事、望んでないだろう…?』そう言って上から降る声…。マントのフードからはその目が見えない。けれど、剣を掴んだその手は、ゆっくりとチャンミンの身体を引き上げた。『ユノ…さん……僕……僕っ………』涙の堪るその瞳…。そして悲しげに震える小さな身体。取り上げられた剣…しかしその剣を掴んだ時と同じ様に、その手を握ったままで……チャンミンはユノの腕の中に包まれる。『僕っ…怖かった……怖かった………』それ...

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。