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第63回ゆのみん企画【海賊】 海賊に恋をして 7

肌に触れる心地いい熱を感じながら、
チャンミンはゆっくりと瞼を上げた。

『……ここは……?』

何度瞬きをしても、
今、目の前に映る景色に見覚えがない…。


ここは……どこ……?

ふかふかのベットに、
鼻に届く匂いは……ユリ……の香り…?
母さんが好きだった花だ……


見上げた天井には……天蓋のカーテンが揺れている。

入り込む陽射に眩暈がしそうだ………

痛む頭に手を添え、
僕はゆっくりと身体を起こす。


あっ……ここって……

ここは……船長の…部屋………?

たった一度だけ入った事がある。

この船に乗せられたあの日、
この部屋に……。


そのベットの上に…どうして……


途切れてしまった記憶を懸命に思い出す。


昨日の深夜…この船は襲撃を受けた。

その恐怖に……僕はなにも覚えてない…

思い出そうとすればひどく頭が痛む……


いやだ…いやだ……


でも…確か…ユノ船長が……


僕はこの部屋の主を探す。

けれどこの部屋には今…僕だけ……

ふぃに見たベット。


大きなベットの真ん中、
そこに寝かされている僕だけど、
僕の右隣に誰かの存在があったかのよう。

まるで誰かと寝ていたかのように、
そこには皺があり、
そして…まだ温かい…。

懸命に頭を整理しようとしても、
ズキズキと痛むこめかみを両手で押さえた。



『…目が覚めたのか…?』


その声に部屋の奥を見つめる。

そこには、
腰にタオルを巻いて立つユノ船長……



『あの…僕………』


『大丈夫だ。気を失っていただけだ。
怪我など負っていない。』


『……いや…そうじゃ…なくて……』


『安心しろ。敵は全て……』

『そうじゃなくてっ!』


だめだ…頭が痛い……

なぜ…僕は今ここに……

僕の事なんか…どうでもいいくせに…なんで……


ユノ船長は濡れた髪をしばりあげ、
ベットの端に腰を落とした。


『チャンミン…怖かったか…?』


そう言いながら、
僕の頬に右手が伸びて来た。

突然の行動に、
僕は身体が強張り、
反射的に身体をひく。


『チャンミン…大丈夫だ……ここなら安全だ。
怖いを想いをさせてすまなかった…』


伸ばされた手から香る匂いは、
このベットから香る匂いと同じ…。

そして、

さっきまで僕の隣で感じていた熱と…同じ……


『なんで…僕なんか……』


『チャンミン…君だけは泣かせないと誓った…』

『船長は…どうして僕をそんなに……』


『もうすぐ港に着く。
お前は…そこで降りるんだ。
この船から降ろしてやる。

お前はもう…自由だ……』


そう言いながらユノ船長は急に立ち上がり、
僕に背を向けた。


上半身裸の彼の背中……


そこには…斜めに流れる大きな古傷…………


あまりに大きな傷跡に、
僕は言葉を失った。

ユノ船長はそんな自分に気が付いたかのように、
慌ててその傷を隠すように絹のマントを羽織った。

『お前を…自由にしてやる。
だからもう…泣くな。』



悲しげな声をと共に、
ユノ船長はゆっくりと歩き出す。

『やっ………行かないで…』


『っつ!!チャンミン………』


僕はその背中に抱き付いてしまった……


どうしてそんな事をしたか、
全然わからないけれど、
僕は……その背中に…手を伸ばしてしまったんだ……。


『行かないで…ください……』

『チャンミン……』

『僕を……ひとりにしないで…………』



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