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第63回ゆのみん企画【海賊】海賊に恋をして 9


なに…言ってんの……?

僕がユノ船長の事を憶えてないかって……?


自分の前で組まれる両腕……

その腕に手を添えその言葉の意味を懸命に考える…。

でも……


でも………


『僕………』


『まだ幼かった君が……俺を救ってくれた……』


な…に……?

なんの事………


『チャンミン…君をずっと探していたんだ………』


その言葉と共に、
ゆっくりと身体が回転する。

目の前に映ったユノ船長の瞳……


『木苺の味は…忘れたのか…?』

そう言うユノ船長の瞳が揺れている。

『木苺……』

その言葉を聞いた途端、
目の前に森が浮かび上がる。

あれはいつだったろう……

僕は父と母と…屋台のタレに必要な木苺摘みに行った事を思い出す。

僕はまだ小さくて、

好奇心の塊で…。


『チャンミン、離れちゃだめよ?』

そう言いながら母に手を引かれて森を歩いた。

木と木の間から零れる光があまりに綺麗で夢中になって採ったっけ……。


気が付いたら、
母と繋いでいた手が離れていて、
手にはたくさんの木苺。

摘みながらも何個も頬張り、
それが楽しくて仕方なかった。


でも…それを袋に入れようと両親の姿を探しても、
何処にもいなかった。

『かーさん?とーさん?』

何度呼んでも僕の言葉に返事はない。

背に小さい僕は完全に森の中で彷徨う。



その時、

突然、雷雨に変わる。


雷の音に驚き、
僕は手に持っていたたくさんの木苺を放り投げて走った。

ただただ走った。


その時、

足元の蔓に足が引っかかり転んでしまったところまでは覚えている。


木苺……

木苺…………

記憶を辿る度にあの景色を思い出す。

潰れた木苺……

真っ赤な……



僕の手に付いた真っ赤な……


あっ……あの時……確か……、


『洞窟……洞窟で……誰かに………』

『そうだ…チャンミン……』

『洞窟で……』



それは転んでから記憶がなかった僕の心に、
まるで色が付くように映像が浮かび上がって来た。


真っ赤な…血………

木苺の赤ではなく……真っ赤な血………


僕の両頬に付いた……真っ赤な…血と……、


誰かの声……



『俺もお前も…一人ぼっちだな…………

俺が……お前を助けてやるからな…………


だからもう……泣くな……チビ………』





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