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海賊に恋をして 16

『そんな…そんな大事な事…忘れてたなんて……』

『チャンミン…お前は…いくつになったんだ…?』

『……18………』

ユノは大きな息を一つはいて、
チャンミンの身体をくるりと自分に向けた。

そして昔の様にチャンミンの両頬を包み込んだ……。

『大きく……大きくなったな…チャンミン……』

そう言いながら、ユノはチャンミンの顔を愛おしげに撫でる。
ゆっくりとチャンミンの顔を這うユノの指から伝わる熱は、
あの頃と何も変わらない。

チャンミンはその熱とユノの瞳に見守られながら、
幼かったあの頃の様に顔をくしゃりと歪ませ、
大きな瞳をぎゅっと閉じた。

ついにその瞳から流れる大粒の涙。


『ごめんね……こんな…大事っ……なこと……忘れてたなんて………』


『……いいんだ……いいんだよ…チャンミン………』

ユノもまた、
過去に想いを馳せながら、

自分と変わらない程に成長したチャンミンの身体を抱き寄せた。


幼い頃、
それぞれの想いを胸に互いを守り合ったふたりは、
こうして再会を果たした……。



それはあまりにも切ない別れの先にあった偶然と言う名の再会。

しかし十数年の時を経て、
運命と言う渦の中で生きていたふたりの心をゆっくりと引き合わせたのだ。



過去に繋いだ手は…それぞれに大きくなった。


ユノはずっとずっと礼も言えぬまま去った事への後悔を胸にこれまで戦い続けて来た。

その果てで見付けたチャンミン…。

そしてチャンミンもまた、
少しずつ思い出すあの頃のユノと、
今現在目の前にいるユノがひとつに繋がり始め、
心の底から湧き上がる想いに涙した…………


『ユノ……お兄ちゃん……ほんとに……ユノっ…お兄ちゃんなんだね…………』



『チャンミン……すまなかったな……勝手に……出て行ってしまって………』






それからふたりはユノのベットへと戻り、
そこに腰を下ろして過去についてたくさん話をした。


『チャンミン…ご両親は…』

『父と母は……早くに病気で亡くなったんです…
僕が…14の時に…。』

『そうだったのか……
お前のご両親は…俺に良くしてくれた……
何も聞かず、
余計な詮索もせず…本当に良くして下さった……

そんなふたりに礼の一つも言わずに俺は………』

そう言って目を伏せたユノ。

膝の上で握られた拳は小さく震えている。

『ユノ……さん……。
でも両親はあなたに感謝していました。
それにこれ………』

チャンミンは先ほどの紋章入りのハンカチを取り出し、

『……ユノさんが家を出てから、僕はいつも泣いていたんです。
そんな僕に母さんはこれだけは失くすなって…。
あなたがユノさんと一緒に居た証だから、
これだけは大事にしなさいって……』

『……そうだったのか…』

『はい…。父も母も青の西軍が来ても、
ユノさんの事は何も言わなかった。
僕を助けてくれた命の恩人だからって。
いつかまた会いたいと言っていました…。』



『俺もそう思っていたよ……
亡くなってしまったなんて……
残念だよ………ほんと……。

ならば…それからお前は一人で生きて来たのか…?』

『はい…』

『よく…頑張ったな…』


『ユノ……ユノさんは…?』

『あぁ。俺はあのまま国に返されてな。
まぁ…色々あったが、今はこうしてこの船に乗っている。』

『…ごめんなさい……大事な事…忘れてしまっていて…』

『いいんだよ…』

ユノはそう言って、
チャンミンの頭に手を乗せた。

『またこうして…お前に出会えたからな…
ずっとずっと…後悔していた。礼も言わず消えた事…』

『僕…あの時…たくさん泣いたんだ。
朝起きたらお兄ちゃんが居なくて……』

『すまなかったな…チャンミン………』


ふたりは夜が明けるまで語り合った。

昔の事、
今の事。

時間が経つのも忘れ、
幼くして別れた兄弟が過去を懐かしむように、
ずっとずっと語り合った。

そして、
ユノが飲み物を取りに一瞬だけ離れた瞬間に、
チャンミンは夢の中へ……

『チャンミン…………』

自分のベットで穏やかな表情で眠るチャンミン。

その寝顔にそっと触れてみる。

『ずいぶん…大きくなったんだな…チャンミン………。
生きていてくれて…ありがとう……

会えて…本当に良かった……


お前だけは幸せになってくれ……。

お前だけは………

俺が最後まで守ってやるからな………』

そう言いながら、
ユノはチャンミンの身体をふわりと抱き上げ、
ベットに横にした。

そして、
ベットサイドの椅子に腰かけ、
その寝顔を見ながら、久し振りにワインを飲んだ。


滅多に酒を飲まないユノだったが、
今日だけは飲みたかった。

『チャンミン…乾杯だ……』

グラス越しに見えるチャンミンを見ながら、
ユノは小さく笑う。


……お前だけは幸せになれ………


次の日、

チャンミンが目を醒ますと、
そこにユノの姿は無かった。

『ユノさん………?』

部屋の窓が開いていてそこから賑やかな声が聞こえる。


『碇を下ろせー!!』

『久し振りの酒だ!!』

『下船の準備だぁー!!』


どうやら港に着くようだ。


チャンミンも急いで甲板に出る。


そこにはマントを羽織ったユノが居た。


『ユっ………』


『チャンミン、お前はこの港で下りろ。
もう2度と…この船には戻るな。』









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