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海賊に恋をして 40


それからどれくらい経ったのだろう……

チャンミンはユノに言われたように、
船長室の隠し部屋でひっそりと息を殺していた。



時折耳に届く声……


それは決して穏やかな音色ではない。



戦い果ての断末魔……

そして、

民の為、仲間の為、そして自分の為に腹の底から出す人間の心の叫び……



その声が耳に届くたびに、
チャンミンは自分の身体をしっかりと抱き込み、
そして、
小さくあの人の名を呼んだ。


『ユノ…さん……ユノさんっ……』



自分の心の内を伝えた……

ユノさんを…愛してると……。

出会ったころから…あの手に触れたあの瞬間から、
チャンミンにはユノが全てだった。

憎んでいた相手は…自分の全てとなった。

真っ暗だった世界に……光が射した……

あの人への気持ちを言葉でなんか表す事が出来ない程に愛しい…。



目を閉じるとすぐにでもあの人の姿が見える…

耳を澄ませば…あの人の囁きがすぐそばで聞こえる……




ユノさん……

僕は…あなたが…好きなんだ……

僕の……全てなんだ……



だから…早く戻ってきて……


その腕で僕を…早く……





その時だった。


ガタンっ!!


部屋の奥から大きな物音が聞こえた。


その音に、
チャンミンの身体がびくっと反応する。

静まり返っていた部屋の中に聞こえる音……

何人もの足音が…少しずつ少しずつ近づいてくる…。





ユノ…さん…?

ユノさんなの……?





いや…違う…この音は……ユノさんの靴音じゃ…ない。




そう思った瞬間、

チャンミンは小さくしていた身を更に小さくし、
部屋の奥にまでずりずりと下がる。


なぜ敵がこの部屋まで……

まさか…ユノさんに何かあったの……

いや…そんな訳ない…

そんな訳…ない。



お願い…

お願い……

ユノさん…早く戻ってきて………!!







次にこの部屋の扉が開くのは、ユノの手であって欲しい。

この暗い部屋の中に射し込む光に照らされるのは…あの人であって欲しい…

チャンミンは俯きながら、
身を小さくし、
震える身体のまま必死にユノの名を心の中で叫んだ。





しかし、

その願いは船長室で響いた聞き覚えのない声に…砕け散った…。




『おい…ここが船長室か…』

『すげぇ……お宝の山じゃねぇか……』

『急げっ!!あいつらは今、船首だ。盗むなら今しかねぇ!!』

『お…おう!!』


その声と共に、
奥の部屋が荒らされる音が聞こえる。


明らかに敵陣……

ユノの…船長室を荒らしている。



ガチャンと響き渡る音。

狂喜と罵倒にも似た声。


2人…いや…もっとだろうか。


すぐ隣で響く音に、
チャンミンはガタガタと震え始めた。


すぐそばにいる数人の敵……

ユノの大切な物を…奪っていく敵………

それを身を隠して聞いているだけの自分……




決してこの部屋から出るな……


その言葉を自分に響かせながら、
チャンミンは握りしめた拳を見つめ、その者たちの声を聞くしかなかった。





騒がしかった物音が一瞬消えた。


『おい…これって…』

『あぁ…これって国王の……』

『まさか…なぜ…これを船長が…』

『おい…船長のチョン…ユンホは…もしかして……』

突然鮮明に聞こえた声。

チャンミンは傍で感じる気配に耳を澄ました。

『おい…最高のお宝じゃねぇか……』

『あいつの首を取ったも同じ。

これさえあれば…これさえ手にすれば……』

高らかに笑う声が響き渡った。



なに…?

ユノさんが…なに……?


『これがあいつの弱点…だ……。
おい…これを持って行くぞ!!

これでこの船も終わり……

俺たちの勝利だーーーー!!』


なに……なに……?




その会話だけが鮮明に耳に残った。

奥から聞こえる会話が胸をざわつかせる……

ユノの…秘密…

ユノの弱点……

敗……北………


それは…ユノの死を意味する………


それだけはダメだ!!
それだけはっ!!



ガタンっ!!




チャンミンの傍にあったイスに膝があたり、
鈍い音が響き渡った。





ヤバいっ…




そう思った時は遅かった。





『おい……誰かいるのか…?』

その言葉に、
心臓が鷲掴みにされたように苦しくなる。

『おい…あれ…隠し……部屋か…?』

『さすが船長だな…あの隠し部屋には更にお宝が眠ってんじゃないだろうな…?』

『おい…行くぞ…』



敵の声が聞こえた…

その声と共に響く足音。

確実に自分の居る部屋へと…続いている。




決してこの部屋を出るな…チャンミン……愛してる……

ユノの言葉が頭の中でぐるぐる回る。


優しい声を奏でながら、
自分の頭をそっと撫でてくれたユノ…

その掌で、
僕の頬を包んでくれたユノの瞳が身体中を駆け巡る。




ユノさん……

ユノさん………!!


必死に願う。



しかし、
確実に……コツコツと近づいてくる足音…


チャンミンはドアを一点に見つめる。




『誰か…居るのか……?』


その声と共に響き渡って居た足音がドアの前で止まる。



チャンミンは息をするのを忘れるほどに身を固くし、
身構えた。





手には…ユノが自分に託したあの短剣だけ……


ギリギリと音が鳴りそうな程に強く握りしめた短剣を手に、
チャンミンはドアを睨みつけた。


ゆっくりと開いた扉の奥………



3人の男の姿。



『みーつけた。
これが船長の最大の弱点であり、
最高の…宝ってやつだな…………』

『あぁ…』



にやりと見下ろすその敵の瞳に、
チャンミンの身体から一瞬で血の気がひいた………。








ずいぶんと更新があいてしまいましたが、
試験も終わったので、
こちらのリズムよく更新していきたいと思っています。

別館もまた頑張りますので、
よろしくお願い致します!


優月…
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