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海賊に恋をして 54

長らくお待たせして申し訳ありませんでした。

『海賊に恋をして』 再開します。

ちょっと時間が開き過ぎましたので、『前回のお話はこちらから』

こちらも頑張っていきますので、
今後もお付き合いして頂ければ嬉しいです。

優月。





『ドンへさん、ユノさんには内緒で行きたいところがあります。』

チャンミンの一言に、ドンへはひどく驚いた顔をした。

『だってユノにここで待ってろって言われただろう?』

『はい……でも…どうしてもユノさんに……ユノさんにあげたいものがあって…。』

チャンミンはどうしてもユノの為に欲しいものがあったのだ。

『でも勝手にここからは出れないぞ。ましてやユノに内緒なんてあぶねぇだろ?』

『だめ……ですか……?ドンへさんが一緒なら…僕、怖くないです。
それにすぐそこなので……。
お願いします!』

チャンミンはユノに気付かれない様に小さな声で懇願した。

両手を胸の前で組み、その大きな瞳にロウソクの光を反射させながら、必死で頼み込んだ。

『お願いします。ドンへさん。お願いします。』

そんなチャンミンに困った顔をしながらも、

『よし……!チャンミンのお願いだ。断れねぇよ!ったく……ユノが夢中になるのも分かるぜ…。』

頭を掻きながらドンへは背を向け、

『さあ、時間が無ぇ。行くぞ。』

『はい!!』





チャンミンとドンへはほどなくして宿に戻る。


『ユノは…まだみたいだな。チャンミン、お前ってほんと可愛いな!!』
『そんな…事…。でもユノさん…まだで良かったぁ……。
ドンへさん、付き合って下さってありがとうございました。』
『俺は別になにも。チャンミン、それに気に入るといいな。』
『はい!!』



ユノの後ろに隠れるようにしてこの場所に来たチャンミンが、ユノの為に何かしたいと言ったその気持ちに、
ドンへはクスりと笑った。

チャンミンはユノが戻るのをドキドキしながら待つ。

ユノが入って行ったドアを眺めながら、
ポケットに忍ばせたそれを握りしめながら今日までの事を思い返す。


海賊によって奪われた故郷…。

ユノに助けられた命。

思い出したユノとの過去。

そして……、

自らの望んだユノの隣……。

本当に色んな事があった。

今日まで………本当に……。

初めて自分の命より大切なものを知った。

弱かった自分をずっと見守ってくれていたユノ………。

人を愛する事も、

誰かに愛される事も……全部全部……あの人が僕に教えてくれた。

だからこそ……今……あの人の隣に居れる事が…何よりも幸せだと思った。

きっと……いや…たぶん、明日からの日々は…本当に苦しい事ばかりだと思う。

だから今夜は……だから今だけは……あの人の隣で、あの人の笑顔をこの心に刻もう…そう思っていた。

この国の王子として生まれながら、
海賊として生き無ければならなかったユノの人生……。

実兄に命を狙われ、国を追われ、
それでも生まれて来た意味を取り戻すために今…新たな戦いに挑もうとする彼に…今、自分が出来る事。


それはこんな小さな事かもしれないけれど、
それでも自分を欲してくれるなら……それでも自分に愛する資格があると言うならば、

僕はこの命を持って…ユノの傍に。


チャンミンは愛しいその人が戻るのを待ちわびながら、
いつの間にか久し振りに感じるソファの柔らかい温もりに誘われるように、
その瞼を閉じた………。


『チャン…ミン……?チャンミン……?』

待ちわびた声が頭の中にぼんやりと響く。

『ん………?』

『チャンミン…こんなところで寝ちゃダメだろ…?』

『ユノ…さん………僕…寝ちゃってたんだね……』

『仕方ないさ。今日まで何日も野宿だったんだ。
チャンミンも疲れただろ?』

『ううん…僕は……』

ぼんやりとしている視界の中、
浮かび上がったその姿を捉えようと、チャンミンは指で瞼をこする。

その手に重なる様に伸びて来た手……。

久し振りに…とても良い匂いがした。

『チャンミンも湯の場に行っておいで。疲れが取れる。』

そう言いながら、ほんのりと温かさを残すユノの指が頬に触れた。

髪はまだ濡れていて、そこからぽたぽたと雫が落ちる。

『ユノさんも…しっかり拭いて。』

ユノの頭にふわりと乗せられた布にそっと触れる。

『大丈夫。ほら、チャンミン、行って来い。』

『…うん……そう…する…………あっ!!』

ユノの髪を見て思い出す。


『ユノさん!!僕……僕ね。』

チャンミンはほんの僅かな時間でも眠ってしまった事で気怠くなった身体を勢いよく浮かせる。

『ユノさん…これ………』


そう言ってポケットに入れたまま、ユノが戻ってくるのを待ち焦がれていた気持ちを思い出しながら、
それを差し出す。

『なんだ…?』

『これね……えっとね……』

優しいロウソクの光の中、チャンミンの手に乗せられていたそれに手をかけるユノ。

『チャンミン…もしかして…これって……。』

『髪……短くなっちゃったけど……ユノさんに似あうと思って……だから……その………』


ユノよりも僅かに小さな手の平に乗せられていたのは……、


赤い糸を何重にも編んで仕上げた…髪結い……。


『俺に……か……?』

『はい………僕…ユノさんの黒い髪が…好き………なんです。』

そう言ってまだ濡れているからこそ、ロウソクの光では分からない程に漆黒に紛れたユノの髪に触れる。

『僕を守って…短くなっちゃたけど、きっとこの黒髪に似合うと思うから……。

お守り……代わりって言うか……なんて言うか……。』


買って来た時は意気揚々としていたけど、
いざ…こんなに近い距離で話すと…あまりにも恥ずかしい…。

あとほんの少しで……その頬に手が届きそうな距離…。

身体を重ねる事にも……まだ慣れない。

あまりにもユノが大切で、あまりにも愛おしいからこそ……この距離はいつまで経っても慣れない。

だからこそ……渡したいと願って買ってきたそれを、いざ本人に渡すこの瞬間に………高鳴る鼓動がばれそうでチャンミンは目を逸らした。


『嬉しいよ……チャンミン……』


躊躇う気持ちとは裏腹に、
ユノはチャンミンの身を柔らかく包み込む…。

頬に触れた濡れた髪が……冷たい熱を伝えた。


その腕の力はぎゅっと力を増す。


『ユノ…さん……?』

『だからって…勝手に外に出たのか…?』

嬉しいと言った口調とはまるで正反対だ。

それは頬に触れた水の冷たさよりも……心に響く。

『ごっ……ごめんなさい……』

『チャンミン……お前は俺のいう事が聞けないのか?』

『でも……僕………』

『俺は……お前に何かあったら…生きていけない。
俺の知らないところで何かあったら…俺は…俺は………』

苦しいほどに抱き込まれた腕が…小さな振動を伝えてくる。

『ごめんなさい……ドンへ…さんにお願いして…一緒に………』

『ったく……ドンへのやつ……』

『僕がお願いしました。ドンへさんは…悪くなっ……』

言い終わる前に、今度はその大きな手が頬を包み込む。

『お前を守るのは俺だ。どんな時も…いつだって。
他人になんか…お前を任せたくない。
それが親友だってな……。
心配…させないでくれ……チャンミン……。』

それはそれは………優しい温もりだった…………。

頬に触れる髪から伝わる冷たい熱ではなく、
ユノさんの………愛しい熱が…………。



『……はい………ごめんなさい……ユノさん………ごめんなさい………』


その言葉に、

ユノがふわりと笑う。


『でも嬉しかったよ…チャンミン………ありがとう……』

返事をしたかったけど、
僕の唇は………ユノさんの唇で飲み込まれた。


繰り返される優しくて…熱い口づけ……。


息をするのも惜しいくらいに……あまりにも愛しいその熱に、

今日も僕は落ちて行く。

もしも…明日…僕たちにどんな事が起こったとしても、

きっとふたりなら乗り越えて行ける……。

ユノさんとなら……

ユノさんとだから………、


僕はきっと…明日も明後日も……ずっとずっと……幸せを感じる事が出来ると思うんだ………。


この人の腕に包まれる僕はきっと………、

どんな人よりも、

どんな運命が待っていようとも、

絶対に幸せなんだと思うんだ…………。



『ユノさん……愛してます………』

『チャンミン……俺もだよ……………』



離れない。

なにがあっても、

この心は……ユノさんだけのもの……………。






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